光学計算ATRHPeシミュレーション

ATRプリズムの光学シミュレーション

光学系のシミュレ-ションソフトは、光学系の性能をパソコン上で事前に評価したり、光学定数の最適化などが短時間でできる大変便利な“道具”ですが、光の振る舞いが一様ではない場合にも、解析に力を発揮します。
*弊社では、シミュレーションソフトに「ZEMAX®」 を使用しています。
以下に、コレステロール測定装置「CLE-100」の測定部に使用している全反射プリズム(ATRプリズム)の内部を光が全反射を繰り返しながら伝搬するシミュレーション図を示します。

シミュレーション条件:ソフトウェア ZEMAX® 「Non-Sequential Component」
ATRプリズム ZnSe製
波長 5.0μm 

図1 ATR内の光伝搬シミュレーション図(垂直面)

図1 ATR内の光伝搬シミュレーション図(垂直面)

左下方にある赤外光源(非表示)から出た光ははBaF2レンズによってプリズムの入射面(左側45°傾斜面)に集められプリズム内に入射します。
入射した光がプリズム(ZnSe製)の上面と下面で全反射を繰り返し、出射面(右側45°傾斜面)から出射する様子が示されています。
入射角度の違いにより全反射の状態が変化することが予想されますが、上図では、上面における全反射の回数が中心光では6回に対し、角度が付いた光では、5回或いは7回、というように全反射の回数が異なることが示されています。
*このシミュレーションは点光源として実施しています。光源の大きさを考慮に入れると、示される伝搬状態は多少複雑になります。

図2 ATR内の光伝搬シミュレーション図(水平面)
図2 ATR内の光伝搬シミュレーション図(水平面)

図1を上からみた図で、左からATRプリズムに入射した光が右から出射するシミュレーション図です。
この図から入射角度が大きい一部の光はATRプリズムの側面に当たり、そこでも全反射していることが分かります。
つまり、図1で上下の面で全反射を繰り返しながら伝搬する光の一部は、側面でも全反射していることになります。このことから、ATRプリズムは、上面、下面だけではなく両側面も光学研磨することが望ましいことが分かります。
*このシミュレーションは点光源として実施しています。光源の大きさを考慮に入れると、示される伝搬状態は多少複雑になります。

 

ページ上部へ戻る